アスベスト使用実態確認調査について


 アスベストは高度経済成長期に多くの建物で使用されてきました。当社では特定建築物石綿含有建材調査者による建物内のアスベスト実態調査を実施し、健康管理、不動産取引、資産評価、訴訟リスクの把握など様々なシチュエーションに対応したサービスを提供しています。調査が対応可能なエリアは、山梨はじめとする隣接県(長野県・群馬県・神奈川県・東京都・埼玉県・静岡県)まで調査にお伺い致します。また、当社では、病院、学校、保育園、社会福祉施設、農協、ホテル、旅館など各省庁からの調査通知に対応した調査実績があります。 


アスベスト実態確認調査-目次-


1.建築物のアスベスト把握の必要性

 アスベストの対策は労働者保護に対応する石綿障害予防規則、地域住民の環境に対応する大気汚染防止法が主になっています。ここでいうアスベスト実態確認調査とは、現在使用している建築物のアスベスト把握が主眼となります。当社は解体前の調査だけでなく、今建物を利用している人のアスベストばく露を防ぐための調査が重要だと考えています。

 なぜなら解体時にアスベストが使用されていることが発覚しても、それまでその建築物で働いていた労働者や建物利用者はアスベストにばく露していた可能性があるからです。これからアスベストが使用された建築物の解体件数が増加していく中で、現状把握をすることで、建物所有者や雇用者は将来の訴訟リスクの回避ができ、従業員や建物利用者や健康被害を防ぐ対策ができます。

(1)石綿障害予防規則【第10条】によるばく露防止の義務

 石綿障害予防規則では第10条に労働者を就業させる建築物に吹き付けられた石綿又は貼り付けられた保温材、耐火被覆材が損傷、劣化により石綿等の粉じんを発散させ、労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、除去、封じ込め、囲い込みの措置を講じなければならないとされています。臨時に就業させる場合には呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させる必要があります。

 つまり石綿障害予防規則では、レベル1及びレベル2の建材が劣化等により飛散する可能性がある場合は対策を求めています。

(2)石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアルへの記載

 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアルでは、石綿障害予防規則第10条のために石綿建材の把握が重要としています。実はアスベスト調査をしなければならないといった明確な決まりはありません。しかし、石綿則によってアスベストばく露対策をする必要はあります。調査の義務はないが、結果として飛散した場合に石綿則違反となります。

(3)災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル:平常時の把握

  環境省より出されている「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル」において、災害発生時に石綿飛散・ばく露防止に係る応急対応を迅速に実施するために

 レベル1の吹付け石綿

 レベル2の断熱材、保温材及び耐火被覆材

について建築物等における石綿使用状況の把握が必要だとしています。

(4)その他のアスベスト調査が必要な理由

  • 資産除去債務の評価(企業会計基準:上場企業のみ)
  • 定期調査報告(建築基準法)
  • 土地工作物責任(民法717条)

2.アスベスト確認調査の流れ

アスベストの確認調査の流れは、資料調査➡現地調査➡報告書作成となります。詳しい内容は、下記をご覧ください。

資料調査

設計図書、竣工図よりアスベストの施工場所を確認し、現地調査の基礎資料と調査計画を作成します。

設計図書がない場合でも調査は可能ですが、分析調査の検体数や作業量が増えるためコストが高くなる可能性があります。

現地調査

資料調査より作成した基礎資料と調査計画から、特定建築物石綿含有建材調査者による建築物内で見逃しが無いよう確認作業を行います。

主に目視での判断となりますが、リスクの高い建材、不明な建材は試料を採取し、試料採取が2度手間にならないよう努めています。

報告書作成

アスベストの施工場所、劣化状況、管理に関わるアドバイスをまとめて書面にて報告します。

アスベストに関わる資料は建物管理と解体時の資料にも使用できるため長期の保管が必要です。

 


(1)調査対象となるアスベストの種類

  • レベル1の建材である吹付け石綿やロックウール吹付材、バーミキュライト・パーライト吹付材
  • レベル2の建材である保温材・断熱材・煙突断熱材・折板屋根断熱材

※建材の確認の他、アスベストの劣化度も合わせて確認します。

※レベル3のその他成型板については必ず実施するわけではありませんが、工事用の資料とするために調査する場合もあります。

(2)レベル2建材の措置対象建材の拡大

調査対象建材の拡大
調査対象建材の拡大

 平成28年6月1日に石綿障害予防規則が改正され、レベル2建材(保温材・断熱材・耐火被覆材)の損傷や劣化状況の把握が求めらています。また、関係省庁から公共施設や学校施設、病院、社会福祉施設などにレベル2建材までを調査対象した「アスベスト使用実態調査」の通知が出されています。

 調査対象建材が、従来のレベル1の吹付けアスベストに加え、改正された石綿障害予防規則に対応する形でレベル2の保温材、断熱材、耐火被覆材の施工と損傷・劣化状況の確認が追加されてます。また、損傷や劣化している場合には、除去や封じ込め、囲い込みの措置が必要になりました。

アスベスト建材レベルの詳細についてはこちらになります。


3.アスベスト実態確認調査費用について

 アスベスト実態確認調査の料金は建築物の状況によって料金が変わります。

  • 延べ床面積
  • 構造
  • 図面の有無
  • 増改築の履歴

レベル1、レベル2までの建材を対象として調査費用の目安は山梨県内で

 

延床面積 500㎡で60,000円前後です。

 

金額につきましては下記の依頼フォーム、メール等にてご相談下さい。

 

 当社では保育園、認定こども園、幼稚園など幼児や子供に暴露する可能性がある施設については山梨県内で50,000円(税抜き)で一律お受けいたします。上記の施設は遊戯室や調理場などに施工されている可能性があり、多くの保育園でアスベストが見逃されている事例があります。

保育園アスベスト暴露の事例

アスベストに係る補助金制度

 アスベストの調査及び分析に使用することができる補助金制度が各自治体にあります。補助率が100% 25万円までと非常にお得な制度になっています。全ての自治体にはありませんが、山梨県内の補助金団体についてはアスベスト補助金ページをご確認下さい。


4.アスベスト調査の種類

(1)建物管理のためのアスベスト調査

 従業員の安全確認と教育のため、ビル管理・メンテナンス業者への危険箇所の通知と保護具装着の指示など、安全管理上必要なアスベストの実態把握調査をしています。飛散性のあるアスベスト施工場所の確認、アスベスト劣化の確認、アスベスト飛散確認のためのアスベスト空気環境調査を含めて実施します。

(2)解体、改修時のアスベスト事前調査

 建物の解体、改修前には石綿障害予防規則、大気汚染防止法でアスベストの事前調査が義務付けられています。特に大気汚染防止法では法改正によりアスベスト漏洩時の責任が全て発注者の責任となり、発注者責任が強化されています。

工事請負者任せではなく、発注者の予算確保、除去工事への理解、事前調査の内容確認が求めてられています。

 

解体前のアスベスト事前調査の詳細はこちら

(3)資産除去債務評価のためのアスベスト調査

 上場企業では資産除去債務として、土壌汚染やアスベストをマイナスの資産を計上する必要があります。調査対象建材はレベル1の吹付材、レベル2の保温材、断熱材、耐火被覆材がメインとなりますが、近年ではレベル3の成形板まで含めて調査するケースが増えています。

(4)不動産取引時のアスベスト調査

 不動産取引時にアスベスト調査の有無について告知事項があります。

その他にも土地にアスベストが散乱しているなど瑕疵に係る調査にも対応しています。過去には建築物だけでなく周辺土壌に石綿が含まれていたため裁判となったケースもあります。

 

不動産取引取引時のアスベスト調査の詳細はこちら

(5)特殊建築物定期調査のアスベスト調査

 一定規模以上、建物用途によって定期的に建築物調査が必要となります。調査項目にアスベスト確認事項があるため報告書に記載が必要になり、専門調査として特定建築物石綿含有建材調査者によるアスベスト調査とアスベスト分析サービスを提供しています。

 

 特殊建築物の定期調査においてのアスベスト確認は、レベル1のアスベスト建材である吹付材の図面確認とヒアリングが主になります。石綿障害予防規則の第10条では、レベル2のアスベスト建材である保温材・断熱材、耐火被覆材等が劣化している際に、アスベスト除去などの飛散防止措置が求められています。特殊建築物の定期調査だけでは、石綿障害予防規則の基準を満足することができません。

 

 特にレベル2の保温材等は図面にも記載されず、目視のみでしか確認できない建材もあり、調査漏れが非常に多いアスベストになります。アスベスト調査の専門家である特定建築物石綿含有建材調査者による調査によって、建築物のアスベストリスクを明らかにすることができます。

(6)労働災害防止と労災認定のためのアスベスト調査

石綿障害予防規則では全ての事業場(事務所、工場、ビルなど労働者が就業する場所)でアスベスト暴露の可能性ある場合、暴露防止対策、保護具の装備が求められています。

今まではレベル1の吹付材だけが対象でしたが、レベル2の保温材、断熱材、耐火被覆材、煙突断熱材も飛散防止の対象となっています。労災防止のための調査と合わせて、アスベスト暴露があったと思われる事業場の確認調査も実施していますので、ご相談ください。


5.アスベスト使用可能性のある建築物について

(1)調査が必要な建築物について

  • 民間建築物:延床300㎡以上の建物(従来は1,000㎡)
  • 建物構造:コンクリート(RC造)・鉄骨造(S造)はアスベストの施工の可能性が高い
  • 3階建て以上の建築物
  • 各省庁よりアスベスト調査依頼があった建築物(総務省勧告に対応)

(2)今まで調査通知が出ているアスベスト確認調査一覧

調査通知一覧表

対象 建物種類 各省庁からの調査通知(年月日)
 医療施設 病院

厚生労働省 

平成28年6月29日(1回目)

平成29年2月14日(2回目)

福祉施設等 保育園

厚生労働省 

平成28年9月30日(1回目)

平成30年11月9日(2回目)new

幼稚園
児童施設
老人福祉施設
障害者福祉施設
農業関連施設 農業協同組合 農林水産省 平成30年
乾燥施設
試験研究施設
学校 大学

文部科学省

平成26年7月14日

平成26年12月16日

平成27年7月7日

平成28年8月5日

平成28年11月1日

平成29年7月11日

平成30年7月27日new

 

専門学校

小学校

中学校

高等学校

幼稚園
認定こども園
公共施設 上記に含まれない公共施設  平成30年4月

(3)調査実績 実施エリア:山梨県・長野県・群馬県・神奈川県・東京都・埼玉県

 当社では多種多様なアスベスト実態確認調査、解体前アスベスト事前調査を実施しています。これまでに実施した施設の種類を下に記載しますので参考にして下さい。

下の一覧以外の施設も調査可能ですので、ご気軽にご相談下さい。

  • 工場
  • 公共施設(庁舎)
  • 水道施設(浄水場、送水施設)
  • 下水処理場
  • 灌漑用施設
  • 排水機場
  • 病院
  • 老人福祉施設
  • 保育園
  • 幼稚園
  • 認定こども園
  • 学校
  • 公営住宅
  • 農業協同組合(JA)事務所
  • 農業施設(乾燥施設)
  • 試験研究所(農業、医薬品)
  • 旅館
  • ホテル
  • 一般住宅


6.アスベスト調査問い合わせフォーム

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アスベスト建物調査依頼書
建物のアスベスト調査のご依頼の際には、こちらの依頼書をご利用下さい。
アスベスト建物調査依頼書.xlsx
Microsoft Excel 40.2 KB

7.アスベスト実態確認調査の留意点

 アスベストの把握及び管理のためのアスベスト使用実態調査は、調査施設が通常営業している時の調査になります。

そのため、当社では下記の事に配慮した調査に努めています。

  • 施設の営業時間に配慮した時間帯や定休日での調査
  • 調査時に、天井の点検口を覗く際には、2名体制で施設側に迷惑掛けないよ配慮した調査
  • 建材確認のための切開や破壊に関しては、施設の影響が出ないように配慮した調査