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石綿障害予防規則改正(その5)その他作業に関わる措置と記録について

石綿障害予防規則が改正されました。工事前の調査、届出の義務化、漏洩防止の強化、隔離作業(負圧なし)の追加、石綿含有成形品に対する措置の強化、作業の記録の保存、発注者の配慮義務化など多くの改正点があります。それぞれの改正は施行の時期がバラバラとなるため、工事や設計の計画段階から、施行を実施する時期を考慮して対応していく必要があります。

 

改正内容が多いため今回はその他の作業に係る措置と作業の記録について記載します。

その他の作業に係る措置の強化

石綿含有成形品に対する措置の強化

石綿含有成形品(レベル3建材)の除去をする作業においては、技術上困難な時を除き、切断等以外の方法により作業を実施しなければならないとされました。

レベル3のアスベスト建材は湿潤化・手ばらしが基本ですが、形状や施工方法が多種多様に渡っているため接着剤を使用して貼り付けているものや材質が脆いものあります。技術上困難な時の判断や作業の方法などあらかじめ想定しておく必要があります。

湿潤な状態にすることが困難な場合の措置の強化

石綿等を湿潤な状態にすることが著しく困難な場合について、除じん性能を有する電動工具を用いる等、石綿の発散を抑制する措置を講じるように努める必要があります。

改修等でアスベストを除去する際に、電気室や狭い場所など湿潤化が難しい場合に粉じんの発生を抑制する対策が考える必要があります。

作業の記録

労働者ごとの作業の記録項目の追加

石綿等の取り扱い作業に従事する労働者の作業記録を40年間保管する必要がありましたが、今回の改正では事前調査の結果の概要と作業の実施状況の記録の概要も合わせて保管する必要があります。事前調査は解体や改修の際に必ず必要な調査となっているためレベル1やレベル2の建材が使用されていなくても必ず実施しなければなりません。

作業計画に基づく作業実施状況等の写真等による記録・保存が義務となります。

石綿が使用されている場合は作業計画の作成(レベル3建材のみであったとしても)が必要となります。作業計画に基づいて破砕せず、湿潤化して手ばらしをしているか、保護具を適切に使用しているかの写真等で記録して3年間保存しなければなりません。過去に実施した作業についても立ち入り調査等で確認される可能性があります。