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アスベスト分析結果の誤りについて

 アスベスト分析の結果に不信があると、当社にお問い合わせを頂きました。RC造の倉庫を解体する際に、外壁の仕上塗材(リシン吹付け)のアスベスト分析した結果(1回目)は「アスベスト含有」となり、外壁のリシン吹付けの除去に多額の費用がかかる予定でした。

当社へご依頼を頂き、アスベスト分析結果報告書(1回目)を確認した結果、仕上塗材(リシン吹付け)の含有している層が不明、分析者の資格の記載がありませんでした。

 当社で再度外壁のリシン吹付けを採取し、分析をした結果は「アスベスト非含有」でした。

間違いが起こった要因①(専門家による建材採取ではなかった)

アスベスト分析結果報告書の採取者欄に、解体業者名が記載されていた。アスベストの専門的知識がない者が建材採取を行ったために、今回の外壁のリシン吹付けには「下地調整材部分」と「主材部分」の2層で構成されているが、しっかりと採取できていなかった可能性があります。

採取器具の洗浄不足によるアスベストの混入や採取後の保管(チャック付きビニール袋)等が用意されておらず、他の物からの混入の可能性が考えられます。

間違いが起こった要因②(採取者の責任者からの分析者への情報伝達不足)

アスベスト分析が適切に行われるためには、採取の責任者から分析者へ試料採取状況や建材の性状などといった情報を伝えなければなりません。

今回のケースでは、外壁のリシン吹付けは「下地調整材部分」と「主材部分」の2層で構成されていたので、各層ごとの分析指示をしなければ、正確な分析結果はでません。

間違い起こった要因③(分析者の経験不足)

厚生労働省の技術上の指針においては、アスベストの有無について的確にできる者としては、「石綿分析技術評価事業」Aランク技術者又はBランクの認定技術者となっています。

今回のアスベスト分析報告書には、分析者の資格の明記はありませんでした。

専門家による調査・試料採取・分析の重要性

今回の事例から言えることは、厚生労働省のアスベスト関わる技術上の指針に明記されていますが試料採取に十分な経験知識のある者とは、「石綿作業主任者」、「アスベスト診断士」、「建築物石綿含有建材調査者」となります。試料採取時の同一性の判断やしっかりとした建材試料の採取、採取後の他の試料の混入の防止、採取器具の洗浄をしっかりする必要があります。

アスベスト分析が的確にできる者としては、「石綿分析技術評価事業」Aランク技術者又はBランクの認定技術者となっています。

また、アスベスト分析を行う時に、建材試料の判断者(指示者)、採取の責任者、分析者の機関が異なる場合には、それぞれの責任分担の明確化と情報伝達が必要になります。

アスベスト分析報告書には、分析者の氏名・資格、採取箇所の指示者(判断者)の所属・氏名・資格、採取者の所属・氏名・資格を明記しなければなりません。

 

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